愛する坂口安吾の小説ベスト6

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坂口安吾は「堕落論」で有名な作家だけれど、小説もいい。

あまりたいしたことは起きない。出てくる女のだいたいが不感症か多感症だ。そういう不具をとおして、肉体と精神は簡単に裏切り合うこと、愛に正しさなんかないことを書いているのだと思う。

 

好きなのいっぱいあるけど、現時点でのランキングをのせておきます。


1位
「青鬼の褌を洗う女」

 

男に媚び、遊ぶのが大好きだと言って憚らない主人公の女が最高。愛しのおじさんの寝姿をじっと見つめて「私のサンタクロース」とか言っちゃうのも可愛い。最後のところ、100万回読んでも泣きそうになる。安吾の妻がモデルになっている。

https://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/42877_27761.html

 

 

2位
「私は海を抱きしめていたい」

 

「私はいつも神様の国へ行こうとしながら地獄の門を潜ってしまう人間だ」という冒頭で泣きそうになる。あと最後も超良い。不感症で貞操観念ゼロの美しい女を抱く話と見せかけてひたすら自分語り。

https://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/56806_56907.html

 

 

3位

「続戦争と一人の女」

 

「戦争と一人の女」の女語り編。「夜の空襲はすばらしい」など、ゾッとするような言葉が多いが、これは彼女がぼんやりと、肉体として生きてきたことを表現しているもの。男は死ぬだろうが私は生き残るんだ、何でもできる、という、寂しさと併存する強さがいい。

https://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/42904_23099.html

 

 

4位
「白痴」

 

セックス後にゴロゴロしてるときにほぼ100%思い出す小説。わりと女性が儚く美しく描かれがちな他作品に対して、ただの肉体であることの哀しみがこれでもかと書かれている。戦火から逃げてきた丘でぐうぐう寝てる女が良い。

https://www.aozora.gr.jp/cards/001095/card42621.html

 

 

5位
「いずこへ」

 

男が女を所有することと貞操と性欲と自我についてグダグダ言ってるだけなのに面白い。「私はそのころ耳を澄ますようにして生きていた」に始まり、「いずこへ? いずこへ? 私はすべてが分らなかった。」で終わる。

https://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/56799_56882.html

 

 

6位
桜の森の満開の下

 

美しいから恐ろしいのか、恐ろしいから美しいのか。たぶん安吾の一番有名な小説。生首コレクターの美女がそれで遊ぶシーンが気持ち悪くて最高。ぼんやりしていて強くて優しい山男が個人的にタイプ。

https://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/42618_21410.html

 

 

桜の森の満開の下・白痴 他12篇 (岩波文庫)

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風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (岩波文庫)

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